今に始まったことではない

高校生の時は、恥ずかしい失敗をしてしまったら「今に始まったことではない」と繰り返し考えていた。(お前が愚かなのは)今に始まったことではない(から大丈夫)……。ちょっと賢そうなふりをしているから失敗を恥ずかしく思うわけで、本当のお前は今も昔も賢くないんだから失敗したっておかしくない。……なるほどね!

高校生の頃はそれで心の平穏を保っていた。けれど今思い返すと、別にそこまで言わなくてもいいんじゃないのという気がする。失敗したのは今の自分なんだから、わざわざ昔の自分を叩きにいく必要はない。なんなら今の自分のことだって愚かだと思わなくていい。思えば昔は失敗した“愚かな”自分を宥めるのにいっぱいいっぱいで、次はどうしたらいいかを考えることはなかった。とりあえず何かに失敗した時は、失敗に至るまでの行動だけを省みて次に活かせばいいのだ。

でもそれが簡単にできたら苦労しないんだな!残念ながら今でもできている気はしないし、恥ずかしい失敗をした日は呻きながら帰っている。けれどいつの間にか「今に始まったことではない」とは思わなくなった。昔の自分を馬鹿にしなくなっただけ、あの頃から一歩前進ということにしたい。